農業環境技術研究所法人情報法定公開情報情報公開

独立行政法人農業環境技術研究所 平成23年度計画

平成23年7月5日変更

第1 業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置

1.経費の削減

(1)一般管理費等の削減

(1) 運営費交付金を充当して行う事業については、業務の見直し及び効率化を進め、一般管理費(人件費を除く)については、毎年度平均で少なくとも対前年度比3%を抑制、業務経費については、毎年度平均で少なくとも対前年度比1%を抑制することを目標に、削減する。なお、一般管理費については、経費節減の余地がないかあらためて検証し、適切な見直しを行う。

(2) 給与水準については、国家公務員の給与水準を十分配慮し、手当を含め役職員給与の在り方について厳しく検証した上で、目標水準・目標期限を設定し、その適正化に取り組むとともに、検証結果や取組状況を公表する。総人件費については、「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」(平成18年法律第47号)に基づく平成18年度から5年間で5%以上を基本とする削減等の人件費に係る取組を引き続き着実に実施し、平成17年度と比較して、独立行政法人農業環境技術研究所(以下「研究所」という。)全体の人件費(退職金及び福利厚生費(法定福利費及び法定外福利費)を除く。)について6%以上の削減を行うとともに、今後進められる独立行政法人制度の抜本的見直しの一環として、厳しく見直しを行う。なお、以下の常勤の職員に係る人件費は、削減対象から除く。

(ア) 競争的研究資金又は受託研究若しくは共同研究のための民間からの外部資金により雇用される任期付職員

(イ) 運営費交付金により雇用される任期付研究者のうち、国策上重要な研究課題(第三期科学技術基本計画(平成18年3月28日閣議決定)において指定されている戦略重点科学技術をいう。)に従事する者及び若手研究者(平成17年度末において37歳以下の研究者をいう。)

(2)契約の見直し

(1) 「独立行政法人の契約状況の点検・見直しについて」(平成21年11月17日閣議決定)等を踏まえ、随意契約等見直し計画に基づき、競争的研究資金等の再委託契約についても競争性のない随意契約の見直しを実施するとともに、一般競争入札等においては、契約監視委員会等の提言に基づき一者応札・応募の改善等に取り組む。

(2) 経費削減の観点から、他の独立行政法人の取組事例等を参考にしつつ、複数年契約の活用や一括発注、単価契約の拡大など多様な契約方法の導入に取り組む。

(3) 密接な関係にあると考えられる法人との契約については、一層の透明性を確保する観点から、情報提供の在り方を検討する。

2.評価・点検の実施と反映

(1) 平成23年3月の評議会での評価を踏まえ、平成22年度実績及び第2期中期目標期間(平成18年度〜平成22年度)に係る自己評価を決定し、その結果を独立行政法人評価委員会(農業技術分科会)に提出する。独立行政法人評価委員会による評価結果については、自己評価結果と併せて反映方針を策定し、業務運営に反映させる。評価結果及びその反映状況等をホームページ等で公表する。

また、業務の重点化及び透明性を確保するため、独立行政法人評価委員会の評価に先立ち、平成24年2月までに、外部評価委員による課題評価を実施するとともに、平成24年3月に業務全般に関する所内メンバーによる自己評価及び外部専門家・有識者による評価を実施し、最終的な自己評価を決定する。研究課題の評価については、研究予算や研究エフォート等の研究資源の投入量、「知的財産権の数」、「論文の数」等の定量的指標及びこれらの分析結果を活用して実施する。その結果については、反映方針や具体的方法等を明確化し、翌年度の研究資源の配分等の業務運営に的確に反映させる。特に研究内容については、研究課題評価や行政部局の参画を得て開催する研究成果の検討等での検討結果をもとに、必要性や進捗状況等を踏まえて機動的に見直しを行う。これらの結果は翌年度の年度計画等に反映させる。

(2) 平成23年度の研究の推進については、リサーチプロジェクト(RP)ごとに設計検討会及び成績検討会で検討する。設計検討会では、中長期的な研究の出口を見据えた中期目標期間の工程表を作成するとともに、平成23年度の研究内容について、工程表での位置付けを確認する。また、研究水準を海外の研究機関と比較するため、平成22年度に試行した国際的ベンチマークについて分析を進める。

(3) これまでに公表した主な研究成果について、利用状況等のフォローアップ調査を実施し、さらなる普及に努める。

(4) 研究職員の業績評価に関しては、平成22年度の業績に係る評価を実施し、その結果を平成23年度の処遇(勤勉手当)に反映させるとともに、平成24年3月までに、平成23年度の業績に係る評価作業を開始する。研究管理職員の業績評価については、平成22年度と同様の方法で実施し、処遇に反映させる。また、評価対象外としていた企画関係従事研究職員について、評価制度の規程を整備し、業績評価を実施する。一般職員及び技術専門職員の評価制度については、平成22年度に実施した人事評価に関する検証を踏まえ、能力評価及び業績評価を実施し、評価結果の活用を検討する。

3.研究資源の効率的利用及び充実・高度化

(1)研究資金

(1) 運営費交付金を活用し、中期目標に定められた研究を競争的環境の下で効率的・効果的に推進するため、研究所内を対象とした公募・採択による研究予算の配分を行うとともに、中期計画に定めた研究を効率的に推進するために、研究資金の重点的な配分を行う。

(2) 農林水産省、環境省、文部科学省等から受託しているプロジェクト研究や調査等を着実に実施する。また、研究所のミッションに即した新たな研究公募がある場合には積極的に応募する。各種外部資金の応募時期の周知や提案書類の書き方に関する説明会を実施し、競争的資金やその他の外部資金に積極的に応募する。

(2)研究施設・設備

研究施設・設備については、業務遂行に真に必要なものを計画的に整備するとともに、研究用別棟管理規程に基づいて管理し、別棟利用の集約化や共同利用を推進する。また、高額機器の利用率の向上方策について検討する。隔離ほ場など利用計画のない期間における外部貸付けが可能な施設・設備等については、引き続きウェブサイトで情報を公開することなどにより有効活用を図る。

(3)組織

中期計画を推進するために適切なRP構成とする。他の農業関係研究開発独立行政法人との共同研究を円滑に推進するために必要な体制整備について検討する。

(4)職員の資質向上と人材育成

(1) 研究開発を取り巻く情勢変化等を踏まえ、人材育成プログラムを改定し、これに基づき、研究や指導・教育により計画的な人材育成を図る。

(2) 引き続き、農環研若手研究者奨励賞を活用し、若手研究職員及び農環研特別研究員の表彰を行う。研究職員のキャリアデザインの作成において、若手については研究管理職員が十分な指導を行う。特に学位未取得者に対しては取得を奨励する。また、国際研究集会及び国際機関への若手の派遣を積極的に行い、国際経験の蓄積を図る。

(3) 研究所のミッション遂行に必要な研究マネジメントに優れた研究管理者を育成するため、研究マネジメント等の研修に研究管理職員を参加させるとともに、必要に応じて、関係行政部局との人的交流に努める。

(4) 一般職員及び技術専門職員が高度な専門技術・知識を要する業務を行うために必要な資格取得や能力獲得を引き続き支援する。特に、向上意識のある自発的な者に対して外部研修関係への参加の支援を積極的に行うとともに、各種教育プログラムに参加させ、資格取得を支援する。

4.研究支援部門の効率化及び充実・高度化

(1) 研究支援業務について、研修や健康診断等の共同実施、マニュアル等の共同作成など他の農業関係研究開発独立行政法人と共通性の高い業務を一体的に実施することにより合理化を図る。

(2) 総務部門を含め、研究支援部門全体として、業務の見直しを行うとともに、情報システムの運用により情報共有の促進や電子申請システムを取り入れ、事務処理の効率化を図る。また、所内グループウェア及び研究管理データベースシステムの活用により運営・管理業務の効率化を図る。

(3) 技術専門職の業務については、遺伝子組換え作物に関わる栽培試験、ビオトープ管理及び環境資源試料の採取、試料調製等高度な専門技術・知識を要する分野に重点化するとともに、専門技術を必要としない業務については、契約職員等を活用することにより業務の効率化、充実・強化を図る。

(4) 研究本館・実験棟の施設・設備の運転保守管理業務等については、引き続き外部委託を行うとともに、業務内容や仕様書の見直しを実施し保守管理経費の削減を図る。また、精密機器類の保守管理についても、予算の効率的執行と精密機器類の利用状況を総合的に判断し、外部委託による保守契約等の内容の見直しを引き続き行い、保守管理費の削減を図る。その他の施設・設備、機械等の保守管理等についても、外部委託、人材派遣、契約職員の活用等により、研究支援部門の要員の合理化に努める。

(5) 農林水産省研究ネットワーク等のインターネットサービスシステムを活用して研究情報の収集・提供業務の効率化、充実・強化を引き続き図る。

5.産学官連携、協力の促進・強化

(1) 行政部局、他の独立行政法人、公立試験研究機関、大学、民間等の参画を求め、研究推進と研究成果の円滑な移転及び相互の連携・協力の促進を図るための会議を開催する。農業・林業・水産業の環境に関する研究所(農業環境技術研究所・森林総合研究所・水産総合研究センター)の間で設立した「三所連絡会」を開催し、連携・協力を推進する。

(2) 他の農林水産省所管の独立行政法人とは、「農林水産省所管の農林水産業に関する試験研究を主たる業務とする独立行政法人間で実施する研究協力に関する協約書」に基づき、その役割分担に留意しながら、研究者の交流を含めた円滑な研究協力を推進する。特に、独立行政法人国際農林水産業研究センターが実施する国際共同研究に必要に応じて協力する。

(3) 農林水産省、環境省、文部科学省、経済産業省等の環境関係の研究機関で結成している「環境研究機関連絡会」及びその成果発表会である「第9回環境研究シンポジウム」に参加し、相互の連携・協力を推進する。都道府県の農業関係行政機関、公設試験研究機関と共催でセミナーを開催し、情報交換を行うことによって、現場ニーズの把握や研究成果の普及を行う。

(4) 東京大学大学院との連携講座、筑波大学及び東京農業大学との連携大学院に関する協力協定に基づく教授等の選任と大学院生の受入によって、教育・研究交流を発展させる。教育・研究に関する協定を結んでいる鯉渕学園農業栄養専門学校とは、研究員の派遣によって連携を推進する。研究連携の推進に関する協定を締結している豊橋技術科学大学とは、研究員の派遣と実務訓練生の受入により研究協力を推進する。

6.海外機関及び国際機関等との連携の促進・強化

(1) モンスーンアジア農業環境研究コンソーシアム(The Monsoon Asia Agro-Environmental Research Consortium、略称MARCO)の参画研究機関と、研究者や情報の交換、共同研究の推進及びウェブサイトの充実により、参画機関との連携強化を図る。

(2) 農業分野からの温室効果ガスに関するグローバル・リサーチ・アライアンスにおける水田管理研究のコーディネート機関として、政府と連携して国際的な研究協力を推進する。

(3) 研究成果の国際的な利活用を図るために、MARCOの枠組みを活用し、アジア太平洋食料肥料技術センター等との共催で、モンスーンアジア諸国で共有する農業環境問題に関する国際ワークショップを実施する。

(4) 研究事業に関する包括協定(MOU)を締結した韓国農村振興庁国立農業科学院、中国科学院土壌研究所、ペルーアマゾン研究所、ペルーラモリナ農業科学大学などとの機関とは、研究者の交流、共同研究等により、研究協力を継続、発展させる。ボン大学ZEF(The Center for Development Research)、ニュージーランド・ランドケアリサーチリミテッド等の関係研究機関とは、研究者の交流により研究協力を推進する。

第2 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置

1.試験及び研究並びに調査

(1)研究の重点的推進

別添」に示した研究を重点的に推進する。なお、これらの研究の推進に当たっては、

(1) 環境問題をめぐる国際的動向等を踏まえ、関連する研究機関や国際機関との連携・協力の下、効率的に推進する。

(2) 他の農業関係研究開発独立行政法人との連携を一層強化し、各法人の有する研究資源を活用した共同研究等を効率的に推進する。

(3) 独立行政法人農業生物資源研究所がセンターバンクとして実施する農業生物資源ジーンバンク事業のサブバンクとして、センターバンクとの緊密な連携の下、遺伝資源の収集、保存、特性評価等を効率的に実施する。

(2)行政ニーズへの機動的対応

年度内に新たに生じた行政ニーズに機動的に対応し、必要な研究開発を着実に実施する。

2.行政部局との連携の強化

(1) 農林水産省消費・安全局農産安全管理課、生産局農業環境対策課及び農村振興局農村環境課農村環境保全室等の関係行政部局との連絡会を開催し、情報交換を密に行い、問題意識の共有を図る。行政部局との連携状況については、3月までに、行政部局による点検を受け、その結果を平成24年度の運営や研究推進に反映させる。

(2) 残留性有機汚染物質(POPs)等緊急対応が求められている問題については、引き続き、行政部局との連携を緊密にして対応する。平成21年度に設置された全国レギュラトリーサイエンス連絡協議会にも積極的に参画し、情報共有及び意見交換を促進する。行政部局等からの要請に応じて委員会(国の要請、公共団体等の受託による。)へ専門家を派遣する。また、委託プロジェクト研究の推進に係るシンポジウム等を農林水産省と協働で開催する。

3.研究成果の公表、普及の促進

(1)国民との双方向コミュニケーションの確保

(1) 年度当初に中期目標期間を見通した広報戦略を策定し、情報の受け手を考慮した情報提供と、インターネット、マスメディア、広報誌、イベント、見学者の受け入れ等、多様な媒体・機会を活用した広報活動を実施する。

(2) 研究活動の内容や成果を分かりやすく説明し、国民との双方向コミュニケーションを確保するため、研究所一般公開、出前授業、サイエンスカフェを実施するとともに、各種の広報イベント等に出展する。また、インターネットを活用した国民との双方向コミュニケーションを図る。

(2)成果の利活用の促進

(1) 行政部局を含む第三者の意見を踏まえ、施策推進上の活用が期待される成果(主要研究成果)を2件以上選定する。

(2) 「主要研究成果」を含む主な研究成果を「研究成果情報」として刊行し、全文をウェブサイトに公開するとともに、独立行政法人や公設試験研究機関、民間との共同研究を推進することにより、研究成果の現場への迅速な普及や特許の許諾・実用化に努める。これまでに公表した「普及に移しうる成果」については、平成22年度に引き続き、利用状況等のフォローアップ調査を行い、さらなる普及に努める。

(3) 過去の研究成果を含めて、農業環境研究の推進や農業環境への理解に有用なデータベース、マニュアル等をウェブサイトに公開し、専門家及び国民への積極的な情報提供に努める。

(4) 他法人や大学、民間等とは、共同研究契約を締結して、共同研究を積極的に推進する。特に民間とは資金提供型共同研究制度を活用する。

(3)成果の公表と広報

(1) 研究成果は、国内外の学会、シンポジウム等で積極的に発表するとともに162報以上の査読論文を発表する。また、論文の量と併せて質の向上を図り、全発表論文のインパクトファクター総合計値180以上となるよう、国際的に注目度の高い学術雑誌等に積極的に発表する。

(2) 研究成果の普及・利活用を推進するため、「有機化学物質研究会(第11回)」、「農薬動態研究会(第28回)」、「土・水研究会(第29回)」等を開催する。また、内閣府、総務省、文部科学省などが主催する第10回「産学官連携推進会議」、農林水産省が主催する「アグリビジネス創出フェア」等の展示イベントに積極的に参加し、産学官民に対して研究成果の普及に努める。研究会、シンポジウム等の開催、イベント等への参加について、ウェブサイトで報告するとともに、研究成果を分かりやすく伝えるポスター、図表等を掲載する。

(3) 国民の関心が高いと思われる研究成果について、適時に分かりやすくプレスリリースするとともに、広報誌「農環研ニュース」、ウェブマガジン「農業と環境」及び「研究所年報」の公開、農業環境インベントリー展示館や各種イベント等、多様な手段を活用して研究成果を広報する。研究成果について6件以上のプレスリリースを行う。

(4) 農業環境問題に関する国際ワークショップを開催するとともに、MARCOのサイト等を中心に、インターネットを活用した情報発信を行う。研究所ウェブサイトで NIAES Annual Report 2011(英語版研究所年報)を公開する。

(4)知的財産権等の取得と利活用の促進

(1) 研究成果の権利化や許諾等の取扱いに関する講習会の開催とマニュアルの作成等を行い、研究員の意識を高める。

(2) 研究成果について戦略的に権利化を進め、年度内に5件以上の国内特許を出願する。保有特許については、実施許諾状況と費用対効果を踏まえながら、保有の必要性を随時、検討する。

(3) フェアやセミナー等の各種イベントの開催や参加、プレスリリースやウェブサイトによる広報など、特許権等に係る情報の外部への積極的な提供等の技術移転に必要な取組を強化することで、実施許諾件数を6件以上とする。

(4) 農林水産研究知的財産戦略(平成19年3月農林水産技術会議決定)等を踏まえ、必要に応じて知的財産方針を見直す。

4.専門分野を活かしたその他の社会貢献

(1)分析、鑑定

行政、各種団体、大学等の依頼に応じ、研究所の高い専門知識が必要とされ、他の機関では実施が困難な化学物質の分析、昆虫や微生物等の鑑定、標本の貸し出し等を実施するとともに、農業環境に係る様々な技術相談に対応する。その際、必要に応じて、所要の対価を徴収する。

(2)講習、研修等の開催

(1) 国や団体等が主催する研修へ研究職員を講師として派遣する。また、研究所で土壌調査法に関する研修会等を開催する。その際、受講者等へのアンケート調査等を実施し、研修内容等の改善を図る。

(2) 研究成果の普及による農業環境技術の向上に貢献するため、依頼研究員、技術講習等の制度により、国内外の機関からの研修生を積極的に受け入れる。学生を対象としたインターン制度を活用して、職業体験教育を実施し、農業環境研究の理解を促進する。

(3)国際機関、学会等への協力

IPCC等の国際機関が主催する農業環境研究に関係する会議に、職員を積極的に参加させ、その運営に協力するとともに、情報の発信と収集を図る。

第3 予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画

1.予算

平成23年度予算

(単位:百万円)

区分 金額
収入
  • 運営費交付金
    • うち補正予算による追加
  • 施設整備費補助金
  • 受託収入
  • 諸収入
  •  
 
  • 3,097
    • 80
  • 132
  • 711
  •  
  • 3,942
支出
  • 業務経費
    • うち農産物等放射性物質調査・分析体制強化事業
  • 施設整備費
  • 受託経費
    • 試験研究費
    • 管理諸費
  • 一般管理費
  • 人件費
  •  
 
  • 860
    • 80
  • 132
  • 711
    • 640
    • 71
  • 331
  • 1,908
  •  
  • 3,942

百万円未満を四捨五入してあるので、合計とは端数において合致しないものがある。

2.収支計画

平成23年度収支計画

(単位:百万円)

区分 金額
費用の部
  • 経常費用
    • 人件費
    • 業務経費
      • うち農産物等放射性物質調査・分析体制強化事業
    • 受託経費
    • 一般管理費
    • 減価償却費
  • 財務費用
  • 臨時損失
3,939
  • 3,939
    • 1,908
    • 766
      • 42
    • 701
    • 331
    • 233
収益の部
  • 運営費交付金収益
    • うち補正予算による追加
  • 諸収入
  • 受託収入
  • 資産見返負債戻入
  • 臨時利益
  •  
純利益
前中期目標期間繰越積立金取崩額
総利益
3,905
  • 3,004
    • 42
  • 711
  • 188
  •  
  • △35
  • 45
  • 10

百万円未満を四捨五入してあるので、合計とは端数において合致しないものがある。

※前中期目標期間繰越積立金取崩額は、前中期目標期間において自己財源で取得した固定資産の減価償却費が費用計上されることに伴う前中期目標期間繰越積立金の取り崩し額。

3.資金計画

平成23年度資金計画

(単位:百万円)

区分 金額
資金支出
  • 業務活動による支出
    • うち農産物等放射性物質調査・分析体制強化事業
  • 投資活動による支出
    • うち農産物等放射性物質調査・分析体制強化事業
  • 財務活動による支出
  • 次年度への繰越金
3,942
  • 3,706
    • 42
  • 236
    • 37
資金収入
  • 業務活動による収入
    • 運営費交付金による収入
      • うち補正予算による追加
    • 受託収入
    • その他の収入
  • 投資活動による収入
    • 施設整備費補助金による収入
    • その他の収入
  • 財務活動による収入
    • その他の収入
  • 前中期目標期間からの繰越金
3,942
  • 3,810
    • 3,097
      • 80
    • 711
  • 132
    • 132

百万円未満を四捨五入してあるので、合計とは端数において合致しないものがある。

4.自己収入の確保

特許実施許諾を促進するとともに、依頼分析・依頼鑑定、依頼研究員受入についてコストに見合う費用を徴収することなどにより自己収入の確保に努める。なお、受益者負担については、適宜見直しを行い適正な水準に設定する。隔離ほ場について、研究所での利用予定がない期間には外部に貸し出し、対価を徴収する。

5.保有資産の処分

既存の施設・設備等の利用計画や状況を精査し、利用率の改善が見込まれないなど不要と判断されるものは、減損措置や処分を行う。

第4 その他農林水産省令で定める業務運営に関する事項等

1.施設及び設備に関する計画

老朽化対策のため、設置後30年余りを経過する研究本館受変電設備の改修を行う。また、研究基盤となる設備の不具合等の指摘箇所について、対応計画を策定し改修等を実施する。

2.人事に関する計画

(1) 人員計画

(1) 方針

効果的・効率的な業務の推進が図れるように、適切な職員の配置を行う。また、研究分野の重点化や研究課題を着実に推進するために、RPの構成を再編して研究を実施する。

(2) 人員に係る指標

常勤職員数は、期初職員相当数を上回らないものとする。

(2) 人材の確保

(1) 若手研究職員の採用に当たっては、引き続き原則として任期付雇用とテニュアトラック制を活用する。

(2) 研究職員における全採用者に占める女性の割合については、前期実績を上回るよう、女性研究者を採用するとともに、積極的に活用を図る。また、女性研究者支援モデル育成事業「双方向キャリア形成プログラム農環研モデル」におけるキャリア形成・研究力向上の支援、出産・育児等との両立支援等の取組を推進し、またその取組を発信することにより、女性応募者数の拡大を図る。

(3) 平成22年度に策定した次世代育成支援行動計画に基づき、仕事と子育てを両立しやすい雇用環境の整備を図る。

(4) 研究リーダーの採用については、研究所内外から広く優れた人材を確保するため、公募方式を積極的に活用する。

3.法令遵守など内部統制の充実・強化

(1) 研究所に対する国民の信頼を確保するため、業務に関わる法令や研究及び研究員の不正防止に関するガイドライン等について研修・教育の実施等により、法令遵守や倫理保持を徹底する。また、利益相反について、研究所の利益相反マネジメント基本方針及び利益相反マネジメント実施規程に基づき、その把握、未然防止、是正等に努める。

(2) 規制物質をはじめとする化学物質の管理については、化学薬品等管理規程の遵守、薬品管理システムの適確な運用等により管理の徹底を図る。また、職員への教育の徹底等により、放射性同位元素、遺伝子組換え生物等の法令に基づく適正な管理を行う。

(3) 研究所のミッションを有効かつ効率的に果たすため、理事長のトップマネージメントが的確に発揮できるよう日常的なモニタリングに加え、監査室による独立的評価を充実させ、その結果を着実に反映させる仕組みを検討する。

(4) 研究所の諸活動について社会への説明責任を果たすため、情報提供を行うととともに、情報の開示請求があったものに対しては適正かつ迅速な対応を行う。また、個人の権利、利益を保護するため、関係法令の周知を図り、個人情報の適正な取扱いを一層推進する。

(5) 情報セキュリティについて、研修・教育の実施等によりセキュリティポリシーの遵守を徹底する。所内ネットワークへの不正接続等を防止するためネットワーク管理の充実を図る。

4.環境対策・安全管理の推進

(1) 中期目標期間における研究所独自の環境マスタープランにより、環境対策に関する基本方針を策定する。また、エネルギーの使用の合理化に関する法律(昭和54年法律第49号)に基づくエネルギー管理体制を整備し、エネルギー使用の合理化やCO削減を視野に入れた施設の整備や維持管理に取り組む。また、これらの措置状況については環境報告書により公表する。

(2) 事故及び災害を未然に防止するため、巡視、点検、管理及び施設整備等の取り組みを一層推進する。

職員及び研究業務に従事する外部の者が研究所の安全衛生に関する責任と意識を持って業務を遂行するため、消防訓練、救命講習会等を開催し、防災意識向上、安全管理に必要な教育・訓練等を行うことにより、事故や災害の未然防止を図る。また、研究所の安全衛生委員会の委員及び産業医等による職場巡視を行い、問題点等について改善を指示するとともに、措置が確実に実施されことを確認するためのフォローアップを行う。外部委託を行った業務についても、請負者に対して安全衛生に関する取組の強化を要請する。さらに、「共用施設・機器等の利用、安全衛生各種事務手続きマニュアル」に基づく点検・見直しの充実を図る。

5.積立金の処分に関する事項

前期中期目標期間繰越積立金は、前期中期目標期間中に自己収入財源で取得し、当期中期目標期間へ繰り越した有形固定資産の減価償却に要する費用等及び東日本大震災の影響により前期中期目標期間において費用化できず当期中期目標期間に繰り越さざるを得ない契約費用に充当する。

[別添] 試験及び研究並びに調査に係る研究の推進方向

1.地球規模環境変動と農業活動の相互作用に関する研究

(1)農耕地における総合的な温暖化緩和策の定量評価

土壌有機物の比重分画法を国内の長期連用試験地に適用し、管理の違いがどの有機物画分に影響するかを評価するとともに、水田からのメタン発生と水稲生育について、つくばみらい FACE 実験による DNDC-Rice モデルの検証と改良を行う。また、一酸化二窒素排出量評価を精緻化するため、排出量データベースを構築し、有機質肥料の排出係数を算出するとともに、窒素投入量に関する新たな地方別の活動量データベースを構築する。加えて、タイの二毛作天水田の圃場試験における温室効果ガス排出量を評価するとともに、中国の農地における長期連用試験データによる RothC モデルの検証を行う。

(2)地球規模環境変動に対する作物応答メカニズムの解明及び影響予測

高CO環境に適応するためのイネの品種特性を解明するため、つくばみらい FACE 実験等で、イネのシンクサイズの遺伝的な違いに着目して、CO濃度上昇が生育・収量・品質に与える影響を明らかにする。さらに、高温ストレスを軽減する管理技術を開発するため、窒素施肥条件がイネ群落の水・熱環境に与える影響を実験的に明らかにし、穂温の推定モデルを改良する。また、これまでに開発した水田生態系応答モデルに主要品種の発育特性を取り入れ、複数の気候シナリオ条件に適用することによって、気候シナリオの不確実性と品種特性を考慮したイネの生育・収量の将来予測を行う。

日本全国を対象として、既存のコメ生産性環境応答モデルの精緻化を図るとともに、他の主要作物に関する広域生産性予測モデルを開発するための基盤情報を収集する。また、統計手法による空間的ダウンスケーリングのための説明変数の客観的選択手法を提案するとともに、他機関の気候モデルによる気候変化予測情報を、日本における食料生産影響評価や適応策の検討に使用可能な地点別・日別気候変化シナリオデータセットとして整備する。加えて、モンスーンアジアを含む世界の主要穀物生産地域を対象として、極端現象への応答も考慮した主要作物の生産性環境応答モデルに水文・水資源モデルを結合するとともに、そのキャリブレーション手法を提案する。

2.農業生態系における生物多様性の変動機構及び生態機能の解明に関する研究

(1)農業生態系における生物多様性の変動メカニズムの解明と適正管理技術の開発

畑の長期耕作放棄地を対象に、放棄後に出現する主要な植物種の動態を解析し、その消長に影響を及ぼす要因を抽出する。また、水田の放牧利用による耕作放棄地の解消が植物群落、節足動物類、鳥類に及ぼす影響を、種群間の比較によって検討する。水田地域における環境保全型農業の効果を表す指標生物とその評価手法を開発するため、栃木県における農法の異なる水田において、指標候補であるクモ類、トンボ類、カエル類などを対象として個体数を調査し、指標としての妥当性及び評価手法の検討を行う。さらに、農業生態系に係る生物多様性の広域評価については、他の主体が取得した様々な生物多様性観測データを調査情報システムと連動させ、農業生態系との関係が深い生物種群を抽出する。

不良環境耐性の遺伝子組換えナタネや遺伝子組換えダイズについて、推移行列モデルを用いて個体群の存続性を評価するとともに、それらと交雑可能なカラシナやツルマメの生態についての情報を収集する。遺伝子組換えダイズや遺伝子組換えイネによる交雑を評価・予測するためのモデルを構築する。外国産の緑化植物による遺伝的かく乱、外来植物の非火山灰土壌地域における分布特性、輸入穀物に由来する除草剤抵抗性雑草やカワヒバリガイの分布拡大の実態を調査する。これらの非意図的に分布拡大する生物を効果的に防除するための調査法及び管理手法等を開発する。加えて、外来生物に関するデータベースを拡充する。

(2) 環境調和型・持続的農業に役立つ生物・生態機能の解明

農業生態系の生物機能を明らかにするため、マメ科植物等から新たなアレロケミカルを同定するとともに、これまでに選抜したシスケイ皮酸等の植物に対する作用を、 DNAマイクロアレイ等で検証する。また、コナガサムライコマユバチ等の昆虫の誘引や定着等に関わる情報化学物質を昆虫や植物から単離・精製するための実験系を構築する。イネ由来の酵母等が生産する生分解性プラスチック分解酵素の生産効率を高めるとともに、その酵素化学的特性を明らかにする。さらに、温室効果ガス発生に関与する土壌微生物群集の特性を明らかにするため、DGGE法等による解析を行うとともに、土壌メタゲノム解析に必要な基礎的手法を最適化する。これらの生物・生態機能を持続的農業に役立たせるため、圃場試験で被覆植物の混播等による雑草抑制試験を開始する。また、酵素処理により生分解性プラスチック製マルチフィルムの分解速度を速める技術を開発する。

3.農業生態系における化学物質の動態とリスク低減に関する研究

(1)有害化学物質による農作物汚染リスクの低減技術の高度化

作物の汚染リスク予測技術では、活性炭施用土壌で50%メタノール・水による土壌抽出のキュウリ果実中ディルドリン濃度予測への適応性を検討する。また、ヒ素溶出抑制資材の施用による土壌中ヒ素の形態変化と溶出抑制機構の関係を解析する。土壌浄化技術の開発・高度化では、土壌洗浄強度とカドミウム浄化効果の関係解明、植物浄化に用いる稲の高カドミウム育成系統における生産力検定・特性検定を行う。吸収抑制栽培技術の開発・高度化では、稲低カドミウム変異体の圃場での適応性を把握する。また、ヘプタクロル類極低吸収性品種を台木として用いた接木カボチャの吸収低減効果を明らかにする。

(2)化学物質の環境動態予測技術と生態系影響評価手法の開発

河川での一時的な除草剤曝露による藻類個体群への影響とその後の回復過程を予測するため、曝露試験によって、増殖阻害と致死率に関する濃度反応関係を求めるとともに、曝露後の清浄な培地での回復性を評価する。その結果に基づき、藻類個体群動態予測モデルを開発する。異なる土壌・流域における窒素動態をモデル予測し、実測値によって検証する。統計データ等に基づき、流域サイズが窒素負荷発生量−流出量関係に及ぼす影響を明らかにする。様々な環境中における硝酸イオンの酸素・窒素安定同位体比の分布傾向を明らかにする。広域でのリン動態予測モデルに必要な統計データ等を整備する。広域モデルにより、農業集水域から公共用水域への亜鉛移動量を見積もる。

4.農業環境インベントリーの高度化

(1)農業空間情報とガスフラックスモニタリングによる環境動態の監視・予測

農業生態系・環境動態の広域評価に向けたハイパースペクトルデータ、新規SAR衛星データ、ガスフラックスデータ等の観測データセットを収集整備する。また、それらの処理・解析手法、及び土地利用現況、土壌−作物−大気系特性等の評価手法開発のための基礎的な関係の探索及び数値モデル化を進める。生態系動態情報の広域的な監視・予測システムの基本骨格、及び時間・空間解像度等の主要な仕様等を検討し、必要な空間データ、衛星観測データ、連続観測データ等を明らかにするとともに、システム構成要素の要件と統合化指針を策定する。

(2)農業環境情報の整備と統合データベースの構築

土壌、微生物、昆虫等の標本・試料を収集するとともに、個別データベースの拡充・機能付加を図り、データの利活用化を行う。また、既存地図情報の高度化を行う。包括土壌分類第一次試案を用いて、土壌情報データ、土壌図データの整備等を行い、本試案普及のための基礎を作る。農業環境中の放射性物質について、モニタリングにより経時的推移を把握する。統合データベース構築の第一歩として、研究所内で横断利用が可能な汎用性の高いデータベースの一覧を作成し、メタデータを付与する。総合的環境影響評価手法開発のための基礎的関連情報を収集する。