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情報:農業と環境 No.96 (2008年4月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

公開講演会 「非食用バイオマスからのバイオエタノール生産」 (第12回バイオマス合同研究会) が開催された

近年、世界各国で地球温暖化対策への取り組みが盛んですが、中でも、石油に替わる再生可能なエネルギーとして、植物(バイオマス)からのバイオエタノール生産が加速されています。バイオエタノールの原料は、トウモロコシ(アメリカ)やサトウキビ(ブラジル)などですが、いずれも、食用部分(でんぷん、糖)を使用しているため、トウモロコシのみならず、それらを飼料とする畜産製品などの価格が上昇しています。このため米国をはじめ世界各地で、非食用作物や木質バイオマス、稲わら等の非食用部からのバイオエタノール生産技術の開発が始まっています。こうした技術開発において一つの大きなカギとなるのが、非食用バイオマスの糖化、アルコール発酵、廃棄物処理等の効率化であり、どれにも微生物が関与しています。

農業環境技術研究所は、環境資源の保全、利用を目的とした「農業環境資源インベントリー(インベントリーとは目録を意味します)」の充実に努めており、その中で、さまざまな作物に生息する微生物(細菌、糸状菌、酵母)を収集した「微生物インベントリー」を整備し、機能の解析をおこなっています。それらの蓄積や経験を生かし、活用することを目的として、現在「非食用バイオマスからのバイオエタノール生産」に向けた研究を開始しています。

本会は、「研究独法バイオ燃料研究推進協議会」が開催する第12回バイオマス合同研究会として、また、農業環境技術研究所が開催する講演会として、共催でおこないました。ここでは、とくに日本の醸造技術の視点から、「非食用バイオマスからのバイオエタノール生産技術」 を考え、「糖化」、「発酵」、「環境に配慮した生産技術」 の研究における現状や課題について専門家に情報を提供してもらいました。

当日の参加者は、129名(内訳は、行政から1名、 国・独立行政法人から43名、 公立試験研究機関から10名、 大学から14名、企業・関係団体および個人参加など47名、農業環境技術研究所から14名)でした。

日時: 平成20年3月13日 (木曜日) 13:00〜17:40

会場: アルスホール (つくば市立中央図書館2F)

主催: 独立行政法人 農業環境技術研究所、研究独法バイオ燃料研究推進協議会

プログラム

開会あいさつ

(独)農業環境技術研究所 理事長 佐藤 洋平

講演

「非食用バイオマスからのバイオエタノール生産技術開発に向けて」

對馬 誠也・北本 宏子(農業環境技術研究所)

「酒醸造技術から眺めたバイオエタノール生産」

飯村 穰(山梨大学)

五味 勝也(東北大学)

「環境に配慮した非食用バイオマスからのバイオエタノール等生産技術」

家藤 治幸(酒類総合研究所)

「燃料用バイオエタノールの濃縮脱水プロセスにおける技術課題」

中根 尭((株)物産ナノテク研究所)

総合討論

コメンテーター:五十嵐 泰夫(東京大学)、森 隆(国際農林水産業研究センター)

閉会あいさつ

(独)農業・食品産業技術総合研究機構 片山 秀策

本会の参加者は、開催案内を2月中旬に出したにもかかわらず、2月末までに予定の100名を大きくこえる参加申込みがありました。中でも企業・団体の方々からの申込みが多く、「非食用バイオマスからのバイオエタノール生産」 に対する関心の高さを感じました。

このように参加を希望される方が予想以上に多かったため、一部の方にはお申込みをお断りすることになり、たいへんご迷惑をおかけしました。

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