2008年12月1日〜12日、ポーランドのポズナン市で開催された気候変動枠組条約(UNFCCC)第14回締約国会合(COP14) に、農林水産省からの出張者の一団に同行して参加しました。
この会合には、187国の締約国が参加し、国際エネルギー機関(International Energy Agency: IEA)などの関係国際機関や世界自然保護基金(World Wide Fund for Nature: WWF)などのNGOからの参加者も含め、参加者数は1万人を超えたとのことです。日本政府からは、外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省が出席しました。
COP14は、バリ行動計画を出した2007年のCOP13(インドネシア・バリ島) から、2013年以降の次期枠組みを合意する予定の2009年のCOP15(デンマーク・コペンハーゲン)に至る過程の中間にあたり、どこまで交渉が進展するか注目されましたが、結果としてはCOP15において合意に至るための1年間の作業計画などが話し合われたにとどまりました。マスコミやNGOの評価も、「成果がなかった」、「盛り上がりに欠けた」 などの評価が多かったようです。これは、事前にある程度予想されたことであり、重要なのはあくまでもCOP15での合意であるということを考えれば、今回の会議が盛り上がりに欠けたのは仕方がないことだと言えるでしょう。
会議の期間中には、気候変動枠組条約のもとでの最高議決会議であるCOP (Conference of the Parties) と並行して、以下の会合が開催されました。
・京都議定書第4回締約国会合(Conference of the Parties serving as the meeting of the Parties to the Kyoto Protocol: CMP4)
・第29回科学上及び技術上の助言に関する補助機関会合(Subsidiary Body for Scientific and Technological Advice: SBSTA29)
・第29回実施に関する補助機関会合(Subsidiary Body for Implementation: SBI29)
・条約の下での長期協力行動のための第4回特別作業部会(Ad Hoc Working Group on Long-term Cooperative Action under the Convention: AWG-LCA4)
・京都議定書の下での附属書 I 国の更なる約束に関する第6回特別作業部会再開会合(Ad Hoc Working Group on Further Commitments for Annex I Parties under the Kyoto Protocol: AWG-KP6.2)
私および農水省関係者の主要な関心事である農地管理に関係する、森林や農地などのCO2吸収源分野について、上記の AWG-KP において議論が行われました。会合全体の議論と同様、あと1年で合意に至るための作業計画についての議論が中心となり、2009年3〜4月の AWG-KP7 で踏み込んだ議論を行うこと、2009年8〜9月の AWG-KP9 で、この議題に関連する決定文書案を検討することなどが合意されました。この分野の議論がどうしても森林に関することに偏りがちであるため、日本の農林水産省からは、農地を含む森林以外の吸収源分野についても議論を開始すべきなどの発言がありました。
2009年12月、コペンハーゲンで開催されるCOP15では次期枠組みが合意されることになっており、この1年間は、条約の締約国間の国際交渉の行方を注意深く見守りつつ、公平で実効性ある枠組みづくりのため、適切に主張を行っていく必要があります。一方で、農地管理によってどの程度の吸収源を見込めるのか、具体的な数値の積み上げ作業を急ぐ必要があり、そこには、研究が果たす役割も大きいと考えています。
写真 会議のようす
(農業環境インベントリーセンター 白戸康人)