農業環境技術研究所は、11月9−11日、つくば国際会議場(つくば市) ほかにおいて、アジア太平洋地域における持続可能な食料生産のための機能的生物多様性の増強に関する MARCO-FFTC 国際セミナー (International Seminar on Enhancement of Functional Biodiversity Relevant to Sustainable Food Production in ASPAC --In association with MARCO--) を開催します。
開催趣旨
最近、訪花昆虫の減少が世界的に問題となっており、農業生産への影響が心配されています。持続的な農業を実現するためには、天敵や花粉媒介虫などの生物多様性を維持・増進する必要があります。そのためには、天敵や花粉媒介虫に代表される機能的生物多様性を評価できる指標の開発、およびそれらを維持・増進するための技術の開発が必要です。
本セミナーでは、アジア太平洋地域における天敵や花粉媒介虫など、機能的生物多様性の現状について意見を交換するとともに、機能的生物多様性を増強する取り組みや機能的生物多様性指標の開発に関する知見の共有をめざします。
開催日: 2010年11月9日(火曜日) 〜 11日(木曜日)
場所: つくば国際会議場 202会議室
使用言語: 英語 (同時通訳等のサービスはありません)
主催: 農業環境技術研究所、 果樹研究所、 アジア太平洋食料肥料技術センター(FFTC)
参加: 参加費無料(定員100名) (レセプション(9日)は有料(参加費6千円))
参加ご希望の方は、参加登録ページ で事前登録をお願いします。
参集範囲: 国および都道府県等の研究機関、 大学、 学会、
プログラム
11月9日(火曜日)
9:40 開会挨拶
農環研理事長、 果樹研所長、 FFTC 副所長
10:40 Session 1 基調講演
農地における生物多様性の増強
Matthew S. Heard(英国生態学・水文学センター)
日本における天敵と害虫防除のための生息地管理の現状
根本 久(埼玉県農林研究センター)
13:00 Session 2 農業生態系における機能的生物多様性の増強
(A:花粉媒介虫)
周辺の多様な生態系と花粉媒介虫が作物の受粉に及ぼす効果
滝 久智 (森林総研)
農業・自然生態系におけるハリナシバチの花粉媒介虫としての役割
Mohd Norowi Hamid (MARDI、マレーシア)
熱帯・亜熱帯における先進的なミツバチの健康管理と養蜂
Yue-Wen Chen(国立宜欄大学)
ミツバチの行動と生理に及ぼす殺虫剤の影響
En-Chen Yang(国立台湾大学)
韓国における花粉媒介虫の研究の現状と農業利用
Hyung-Joo Yoon(韓国農業科学院)
代替的花粉媒介虫利用のコストと便益―台湾の事例―
Jung-Tai Chao(台湾林業試験所)
台湾における作物の花粉媒介虫としての野生ハナバチ
I-Hsin Sung(台南区農業改良場)
(B:天敵の多様性と増強)
台湾の生物的防除における天敵とその利用
Chi-Feng Lee(台湾農業研究所)
※ Reception (参加費 6千円) を9日に開催します。
11月10日(水曜日)
9:00 ベトナム紅河デルタにおける水稲およびアブラナ科野菜の天敵の多様性
Ho Thi Thy Gian(ハノイ農業大学)
タイにおける重要害虫の天敵と生物的防除手段としての利用
Wiwat Suasaard(カセサート大学)
在来天敵を利用したバナナ害虫 バショウゾウムシの古典的生物的防除
Ahsol Hasyim(インドネシア野菜研究所)
ミャンマーにおけるインゲンモグリバエの生物防除資材
Thi Tar Oo(イエジン農業大学)
11:20 Session 3 農業環境における機能的生物多様性
景観構造が機能的生物多様性に及ぼす影響
山本勝利(農環研)
フィリピンにおける機能的生物多様性プログラムの技術習得におけるモダリティアプローチ
Jocelyn A. Eusebio-Eusebio
(フィリピン農業資源研究会開発協議会)
土壌微生物の多様性と機能に対するメタゲノム的アプローチ
藤井 毅(農環研)
韓国における食糞性生物(無脊椎動物)の多様性と土壌生態系における役割
Hea-son Bang(韓国農業科学院)
14:30 Session 4 機能的生物多様性を評価する指標の選抜と利用
日本における水田生態系の機能的生物多様性を評価するための指標生物の選抜
田中幸一(農環研)
日本における畑圃場の機能的生物多様性を評価するための指標生物の選抜
井原史雄(果樹研)
下草栽培による果樹園における多様性指標となる天敵の維持
三代浩二(果樹研)
16:20‐17:00 総合討論
11月11日(木曜日)
現地視察(食と農の科学館、果樹研ほ場 ほか)
問い合わせ先
〒305-8604 茨城県つくば市観音台3-1-3
農業環境技術研究所 生物多様性研究領域長 安田耕司
電子メール(事務局): seminar1109@niaes.affrc.go.jp