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農業と環境 No.133 (2011年5月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

吉松慎一・中谷至伸・吉武 啓・安田耕司: 昆虫標本を活用した農と自然への理解増進で文部科学大臣表彰

4月11日、平成23年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者が文部科学省から公表され、農業環境インベントリーセンターの吉松慎一 上席研究員、中谷至伸 主任研究員、吉武 啓 研究員、および生物多様性研究領域の安田耕司 領域長の4名が、「農業と関連する昆虫標本を活用した農と自然への理解増進」 で、科学技術賞(理解増進部門) を受賞しました。

受賞業績の概要は次のとおりです。

農業と関連する昆虫標本を活用した農と自然への理解増進

現在、世界規模で生物多様性の解明と保全に向けた取り組みが進められており、農耕地や里山における生物多様性研究への貢献が求められています。農業環境技術研究所の昆虫標本館には、国内では最大規模の農業に関連する昆虫標本(約130万点)を所蔵していますが、国民への情報の提供は不十分で、標本収集・管理の意義を理解してもらうまでには至っていませんでした。

この活動では、昆虫標本館が所蔵する昆虫標本を利用して、昆虫種の鑑定依頼への対応、見学者への解説を実施しました。1948年以来、約9,200件の鑑定依頼に対応するとともに、次世代を担う子どもたちに昆虫や自然環境・農業への理解を深めてもらうためにさまざまな行事を実施して、最近では年間1,000人を超える小・中学生に昆虫採集や標本作製を指導しました。また、日本応用動物昆虫学会に協力して、日本産害虫の全種類のリスト 「農林有害動物・昆虫名鑑 増補改訂版 (ページのURLが変更されています。2014年12月)」 を、2006年に出版しました。

この活動は、若い世代の理科離れを防止したり生物への関心を高めたりすることに貢献してきました。また、鑑定依頼で判明した昆虫を新害虫として報告してきたことは、現地での防除対策に役立っています。

主要論文:

1)「2008年に北海道で発生したヘリキスジノメイガの発生地域と被害状況」
北日本病虫研報(60)、p223-226、2009年12月発表

2)「Fungivory of Anatatha lignea, an interesting habit in Noctuidae (Lepidoptera)」
Entomological Science 9(3)、p319-325、2006年9月発表

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