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農業と環境 No.189 (2016年1月4日)
国立研究開発法人農業環境技術研究所

農業環境技術研究所公開セミナー「農地にすむ生物の能力を利用した環境にやさしい農業生産に向けて」 開催報告

国立研究開発法人農業環境技術研究所(農環研)は、2015年11月26日(木曜日)午後、秋葉原コンベンションホールにおいて、農業環境技術研究所公開セミナー「農地にすむ生物の能力を利用した環境に優しい農業生産に向けて」を開催しました。

このセミナーは、農業環境技術研究所が、農業・食品産業技術総合研究機構および農業生物資源研究所の後援を受けて開催しました(これら3つの国立研究開発法人は、2016年4月1日に1つの新組織にまとまり、新たにスタートする計画になっています)。参加者数は 107 名(内訳:民間29名、国・研究開発法人23名、県職員16名、大学17名、一般市民14名、団体6名、報道関係2名)でした。

農環研では、農地に棲(す)む生きもの達の持つ能力や関係をくわしく調べて、病害虫や雑草が発生しにくい栽培環境づくりや、農業資材の適切な利用に役立てるための研究を進めてきました。今回のセミナーでは、その研究プロジェクトの成果をご紹介するため、宮下理事長によるプロジェクトの説明の後、植物や昆虫が作る化学物質〜病害虫が発生しにくい環境作りにむけてというテーマ、および微生物の働きで畑の環境を整えるというテーマで、各3件の講演を行いました。さらに、各セッションの間には9件のポスター発表も行いました。

参加者に記入していただいたアンケート結果には、

・ 基礎研究から現場の技術への応用がなされており、とても参考になった。

・ 昆虫が出すフェロモンや植物の放つ匂いによって害虫管理を試みる研究がとても興味深く感じました。

・ 最小量の肥料で最大の効果をひきだせれば、資源を節約でき、環境の負担も少なく、生産性は維持できるという、すばらしい成果が得られると思うので、期待しています。

・ 貴所の研究から得られた自然の有用な現象などが実際の農業現場で活用されることを期待しています。

・ 実用化から遠くてもよいので、科学の面白さをアピールしてほしい。

・ 各発表について、単に研究データだけを紹介するのではなく、周辺の話題から本題へという流れで非常にわかりやすかった。

・ 講師の方々にネームプレート等を付けていただいた方がわかりやすく、話しかけやすい。

・ 会場のアクセスがよく、参加しやすかった。会場内のスクリーンの見やすさなど環境も良かった。

といった感想やご意見をいただきました。また、ぜひ低コストでの実現をお願いしたい。商品化ありきで進めてほしいといったご要望もいただきました。実用化までの間に、私たちの発見の過程をご紹介し、ご来場の皆様とお話しすることで、研究の方向性を定める上で新たなさまざまなヒントをいただきました。一方で、「スライド資料等も配布していただければありがたかったです」というご要望もありました。口頭発表とポスター発表の要旨 [PDFファイル] を公開し、それぞれの発表の内容が紹介されているページ(多くは農環研ホームページ内の解説記事)へのリンクも掲載しましたので、参考にしてください。

講演のようす(農業環境技術研究所公開セミナー)

講演会場のようす(農業環境技術研究所公開セミナー)

ポスター発表会場(農業環境技術研究所公開セミナー)

北本宏子(生物生態機能研究領域)

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