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農業と環境 No.191 (2016年3月1日)
国立研究開発法人農業環境技術研究所

健康診断の発想に基づく土壌病害管理「ヘソディム」研究成果発表会 開催報告

国立研究開発法人農業環境技術研究所は、2016年2月19日(金曜日)、秋葉原コンベンションホール (東京都千代田区外神田1丁目) において、健康診断の発想に基づく土壌病害管理「ヘソディム」研究成果発表会 を開催しました。

土壌病害の効果的な対策のためには、予防原則に基づいて土壌消毒剤の使用の要否などを栽培前に診断・評価して、その結果に応じて対策を講じることが重要です。このため、農業環境技術研究所では、予防医学の概念に基づくヒトの健康診断による健康管理を参考にして、土壌病害の「発病しやすさ(発病ポテンシャル)」を診断・評価することで適切な防除手段を決定する、新たな土壌病害管理「ヘソディム(HeSoDiM)」を開発しました。

この研究成果発表会では、全国各地で発生している土壌病害に対する土壌消毒剤の使用を低減あるいは適正化するためのヘソディムの開発をめざす研究課題、農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業 「次世代型土壌病害診断・対策支援技術の開発(25056c)」 (PDF) で得られた成果である各病害に対して開発されたヘソディムや診断に役立つ技術等について、計5件の講演およびポスターセッションで報告しました。

講演のようす(「ヘソディム」研究成果発表会)

ポスターセッションのようす(「ヘソディム」研究成果発表会)

参加者数は149名(内訳:民間72名、国・研究開発法人19名、県職員45名、大学4名、一般市民2名、団体6名、報道関係1名)でした。

参加者に記入していただいたアンケート結果には、

・ すべて良かった(ヘソディムの考え方「予防医学の視点」等)。

・ ポスターセッションがゆったり設けてあり、よかった。そばで聞いていただけで知識が深まり、有意義であった。

・ 今後、土壌病害対策にヘソディムが重要になると思われる。今後に期待している。

・ 各地・各試験場でもヘソディムの説明会があるとありがたい。

・ 農家へのPR・教育を継続してほしい。

・ 普及を考える上でも、農業従事者向け、研究者向けの説明・情報をもっと意識すべき。

・ ポスターセッションだけでなく、意見交換会・交流会など発表者の方々ともう少し議論できる時間があればよかった。

・ プロジェクト参加者(とくにポスター発表者)は、名札を付けてほしかった。

・ 口頭とポスターセッションの時間を、午前と午後に分けてほしかった。

・ 時間を増やしてもよいので、できるだけ多くの情報を発表してほしかった。

といった、感想やご意見を多数いただきました。全体として、ヘソディムの現場への普及や、各地で問題となっている土壌病害に対する新たな開発への期待の声が大きかったと感じております。

なお、当日は、研究課題の成果を取りまとめた ヘソディム指導者向けマニュアル および 診断のための技術情報マニュアル を参加者全員に配布しました。これらは、農環研ホームページからダウンロードできますので、ヘソディムの実践や新たな開発にご関心のある方はこれらのマニュアルを参考にしていただけると幸いです。

(生物生態機能研究領域 吉田重信)

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