農業と環境

はじめに

「農業と環境」は、国内外においてますます重要な問題になってきている。

ひとつは、グローバリゼーションの問題である。WTOやOECDなどで、農産物貿易や農業政策の論議において環境の保全が重視されている。またIPCCやIGBPにおいては、温暖化防止など地球規模の環境問題も重要な課題となっている。

ほかには、20世紀後半に急速に発達した鉱工業や革新的技術に由来する有害重金属による農地の汚染、環境ホルモンなど超微量化学物質の食物連鎖を通した生物相への汚染、遺伝子導入作物の生態系への影響など、もともとわれわれ人類が作り出したものによる環境へのインパクトがある。さらには、農業生産の集約化、規模拡大や耕作放棄地の拡大などによる農業環境資源の劣化や多面的機能の低下の問題がある。

21世紀に予想される様々な環境問題は、人口問題の解決をぬきにしては考えられない。環境問題は人口問題であり、人口問題は食糧問題で、食糧問題は農業問題である。したがって、環境問題はまさに農業問題なのである。

60億人を越えて増えつつある世界の人口に、大地と水と大気と生物に悪い影響を与えないように食料を供給するためには、農業生態系の持つ自然循環機能を活用し、健全な食料を生産することがきわめて重要な課題である。

農業環境技術研究所は、このような問題の解決に向けて努力しなければならない。ここに新たに「情報:農業と環境」を発行し、国内外の「農業と環境」に関わる情報を提供するとともに、農業環境技術研究所が取り組んでいる研究に関連するさまざまな事象を紹介する。

「情報:農業と環境」No.1 (2000年5月) より)

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