独立行政法人農業環境技術研究所
平成22年4月1日
独立行政法人農業環境技術研究所では、下記研究職員 (若手育成型任期付研究員) の募集を行っております。
記
任期付研究員 (若手育成型) /別紙 I 〜III ポスト ・ 各1名
平成22年8月1日からなるべく早い時期
ただし、本募集により採用された任期付研究員について、希望者には任期満了のおよそ1年前までにテニュア審査を実施し、合格すれば任期の定めのないパーマネント研究者として継続して雇用することが可能になっています。
これまでの研究内容の要約 (A4判1枚、書式自由)、及び業績リスト (記載例 [PDFファイル] に従って記載)
※ 応募書類は返還しません
農業環境技術研究所の規程に基づき決定
(詳細はお問い合わせ下さい)
〒305−8604
茨城県つくば市観音台3−1−3
独立行政法人農業環境技術研究所
総務管理室 小山英也
平成22年5月21日(金曜日)(必着)
(面接の際、応募者の今までの研究業績及び採用された場合の抱負に関して、15分程度のプレゼンテーションをしていただきます)
長谷部 亮 (研究統括主幹) 029-838-8143 E-mail: hasebe@affrc.go.jp
小山 英也 (総務管理室主査) 029-838-8156 E-mail: oyama@niaes.affrc.go.jp
(別紙)
同位体を用いた農業生態系と大気間のガス交換の動的解明
当研究所では、1950年代から農業生産環境にとって重要な作物群落と大気との間の熱、水、二酸化炭素交換に関する研究を行ってきた。1990年代以降は、オゾン、温室効果ガスやその関連物質等の、地球環境・地域環境で重要な微量ガスにも対象を広げて、研究を展開している。しかし、農業生態系と大気間のガス(水蒸気も含む)交換には生物現象が複雑に絡むため、依然として未解明の部分が多い。生態系と大気間のガス交換の研究において、各生態系プロセスにおける同位体分別は重要である。最近の同位体分析・測定技術の進歩に伴い、ガスの発生・吸収源の推定や、ガス交換と環境要因との動的関係の解明に、炭素、酸素、水素、窒素等の同位体が利用されるようになってきた。そこで、当研究所で行われている農業生態系と大気間のガス交換の研究に、最新の同位体分析・測定技術を導入し、研究の新たな展開を図る。具体的な研究としては、以下のような課題(例)が考えられる。
1.植物・土壌と大気間の微量ガスの交換量および機構の解明に関する実験的研究
2.タワーフラックス観測や開放系大気CO2実験(FACE)等と連携した、農業生態系のガス交換モデルの高度化や環境変動に対する生態系応答の研究
3.微量ガスの広域収支推定と農業生態系の寄与の評価
【キーワード】 同位体、ガス交換、農業生態系、大気分析
・ 採用時に博士の学位を有する者
・ 同位体の高精度分析手法に習熟し、その手法を生態系のガス交換の研究に適用することに熱意を持って取り組める者
農耕地からの温室効果ガス排出削減と土壌炭素蓄積を基幹とした温暖化緩和策に関する研究
我が国の温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比25%削減する国家目標の達成に貢献するため、農地から排出される温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素)をより一層削減するとともに、農地土壌への炭素蓄積を増進する必要がある。こうした取り組みを国際的な枠組みに位置づけるためには、発生削減量や炭素蓄積量の広域的な評価手法の精緻化が必要である一方、緩和策が環境に及ぼす影響の評価が必要である。このため、温暖化緩和策の効果及び環境影響を広域的に評価する手法を開発する。研究の推進に当たっては、共同研究等を通じて国内及びアジア地域を対象とする。
【キーワード】 農耕地土壌、温室効果ガス、炭素蓄積、温暖化緩和策、有機物投入、環境影響
・ 採用時に博士の学位を有する者
・ 農耕地からの温室効果ガス発生に関する研究経験を有し、農地の炭素・窒素循環や農業の環境影響、わが国とアジア地域における農業実態に関心を有する者
農業活動が環境に及ぼす影響の総合的な評価手法の開発
農業は、食糧生産に加え、土壌の二酸化炭素蓄積、景観向上および生物多様性の維持などの環境保全的機能を有しており、そうした機能の発揮が期待されている。その一方で、農業活動は温室効果ガスの発生、肥料の過剰投入による水系の富栄養化など、環境に負荷を与えていることも知られており、そうした影響の軽減策が求められている。農業環境技術研究所ではこれまでに、個々の機能や負荷ごとに、評価及び対応技術の開発を進めてきた。しかし、これらは相互に関係しており、個別の対応が他に負の影響を及ぼすこともあることから、農業活動全般についての環境に及ぼす影響の総合的な評価手法を開発し、最適な方策を明らかにすることが求められている。
具体的には、農業環境技術研究所がこれまでに蓄積している土壌などの基盤情報、温室効果ガス排出、土壌炭素蓄積、地下水の硝酸汚染、生物多様性など個別の環境要因に関する評価手法等を活用し、LCA手法やシステム工学的なアプローチを駆使して、全体的な環境保全機能や環境負荷に生産性の観点も加えた総合的環境影響評価(エコバランス評価)手法を開発し、最適な施策体系や営農管理を選択するための意志決定支援ツールを提示する。
【キーワード】 農業活動、環境指標、エコバランス、トレードオフ、LCA、持続可能性、多基準分析、システム工学
・ 採用時に博士の学位を有する者
・ LCA、多基準分析等を活用した環境影響評価研究の実績を有し、農業環境研究に関心を有する者