農業環境技術研究所刊行物研究成果情報平成19年度 (第24集)

主要研究成果 11

1kmメッシュ単位で推定した農業統計のデータベース化

[要約]
農業集落単位で集計された耕地面積や家畜飼養頭数といった農業統計データを農業環境研究で利用しやすい1kmメッシュ単位のデータに変換し、データフォーマットがCSV形式のファイルを作成しました。
[背景と目的]
農林業センサスなどの農業統計データは市町村などの行政区画単位で集計されていますが、集水域などの自然の区画は行政区画とは異なった形状であることがほとんどです。そのため、農業環境研究において、農業統計データを自然環境のデータと組み合わせて解析することが困難でした。そこで、自然の区画に合わせて集計しやすい1kmメッシュ単位の農業統計データに変換し、いろいろな目的に利用できるようにデータベース化を行いました。
[成果の内容]
 農業集落単位で集計された作目別の耕地面積や家畜飼養頭数といった農業統計データを1kmメッシュ(国土数値情報の3次メッシュ)単位に変換し、これを全国及び都道府県単位にまとめて汎用性の高いCSV形式のデータファイルを作成しました(注1)。変換には農業集落地図と100mメッシュ土地利用データ(国土地理院が作成)を組み合わせて1kmメッシュごとの耕地面積を推定する方法を用いました(注2)。
 作成したデータファイルは3次メッシュコード、年次、経営耕地面積など表1に示した21項目から構成されています。乳用牛〜鶏までの家畜飼養に関する項目は各農業集落の飼養頭羽数を耕地面積の割合に応じて1kmメッシュに按分した値です。1970年から1995年までの5年ごとのデータがあり、耕地面積の経年的な変化を見ることもできます(図1)。
 これらのデータは農業環境研究のための基礎的データの一つとして国土数値情報やメッシュ気候値など既存の1kmメッシュデータと組み合わせて利用することができます。データはインターネットを経由してダウンロードすることで入手できます。
 注1 東京都および大阪府のデータについては未整備です
 注2 神山ら、日本土壌肥料学雑誌、74:415-424(2003)
本研究の一部は財団法人畜産環境整備機構「家畜排せつ物利活用方策評価検討システム構築事業」による成果です。また、農林水産研究情報・計算センターの農林水産基礎数値データベースからダウンロードした農業統計データ(農水省統計部が作成)を利用しました。
リサーチプロジェクト名:農業環境リスク指標リサーチプロジェクト、環境資源分類・情報リサーチプロジェクト
研究担当者:農業環境インベントリーセンター 神山和則、上田義治

図表

図表

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