農業環境技術研究所は11月15日から18日まで、つくば国際会議場(茨城県つくば市)ほかにおいて、MARCO ワークショップ 「農業分野における温暖化緩和技術の開発」( MARCO Workshop on Technology Development for Mitigating Greenhouse Gas Emissions from Agriculture ) を開催します。
開催趣旨
地球温暖化と農業活動との関係に関わる研究の必要性が高まるなか、農業分野における温暖化緩和技術についての研究が国内機関の連携により強化・重点化されてきた。その結果、農地・草地・家畜排せつ物処理施設における温室効果ガス排出・吸収量の精密測定、炭素・窒素統合循環モデルの構築、全国スケールの炭素蓄積量と温室効果ガス排出・吸収量および温暖化緩和ポテンシャルの推定等、さまざまな温室効果ガス排出削減・吸収源機能確保技術の開発に関する多くの研究成果が得られている。
一方、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書(AR5)の執筆が2014年の発表を目指して開始され、農業分野における温室効果ガス排出に関するグローバル・リサーチ・アライアンス(GRA) の活動が本格化するなど、わが国の研究成果を国際的に発信することの重要性が高くなっている。このことは同時に、わが国がアジア地域における農業環境研究に関するイニシアチブを確保するための好機でもある。
そこで、モンスーンアジア農業環境研究コンソーシアム(MARCO) の枠組みのもとで、IPCC-AR5 著者、GRA 関係者、およびモンスーンアジアの専門家等の海外有識者を招へいし、農林水産省委託プロジェクト研究 「気候変動に対応した循環型食料生産等の確立のための技術開発 〜 A-1系 農業分野における温暖化緩和技術の開発」 参画者を中心に国内関係者の参集を広く呼びかけ、農業分野における温暖化緩和技術に係る情報・意見交換を行う。このことから、上記プロジェクト研究などのわが国研究成果を国内外へ情報発信し、同時に、今後の国内外での研究計画と連携に関する検討を行う。
開催日時: 2011年11月15日(火曜日) 〜 18日(金曜日)
開催場所: つくば国際会議場(エポカルつくば)(茨城県つくば市)ほか
参加: 無料 (懇親会 5,000 円)
事前登録は終了しました。
会場での参加登録もお受けしますので、未登録の方は会場受付にお知らせください。
なお、15日のエクスカーションは予定人数に達したため当日参加はできません。
使用言語: 英語
主催: 独立行政法人 農業環境技術研究所 (NIAES)
後援: 農林水産省農林水産技術会議事務局、 (独)農業・食品産業技術総合研究機構、 (社)日本土壌肥料学会、 温室効果ガス排出に関するグローバル・リサーチ・アライアンス (GRA)
プログラム
11月15日(火曜日) エクスカーション 9:00 − 17:20
□ 午前:農環研温室効果ガス発生制御施設およびインベントリー展示館
□ 午後:近隣の緩和技術研究現場
11月16日(水曜日) 各国研究者による最新の研究紹介 (エポカルつくば中ホール300) 9:30 − 17:00
■ 開会挨拶
農環研理事長
■ 基調講演
1. C. Rice (カンザス州立大学) 農地土壌からの温室効果ガス発生削減
2. B. Rees (スコットランド農業大学) 農業分野からの N2O 発生削減の重要性
3. 杉山大志 (電力中研) 地球環境のリスク管理における農業の役割
■ 畜産における温暖化緩和技術
4. 三森眞琴 (畜草研) 反すう家畜のメタン産生に関するルーメン内水素制御の可能性
5. K. Sommart (コンケン大学) タイにおける反すう動物のメタン発生削減技術
6. 長田 隆 (畜草研) 乳牛スラリーからの温室効果ガス発生量評価
7. 前田高輝 (北農研) 乳牛堆肥化過程における温室効果ガス発生削減方策
8. 福本泰之 (畜草研) 硝酸生成作用を利用した豚ぷん堆肥化過程における N2O 発生削減技術
9. 荻野暁史 (畜草研) 低タンパク質飼料給与による家畜排せつ物処理からの温室効果ガス発生削減
■ レセプション(カフェ・ベルガ)
11月17日(木曜日) 各国研究者による最新の研究紹介 (エポカルつくば中ホール300) 9:00 − 17:00
■ 畑・草地における温暖化緩和技術
10. 清水真理子 (北海道大学) 堆肥施用が草地からの温室効果ガス発生に及ぼす影響
11. M. Xu (中国農業科学院資源・区画研) 中国の長期連用試験圃場における土壌炭素隔離と温室効果ガス発生
12. 白戸康人 (農環研) Roth C モデルによる日本の農耕地土壌炭素蓄積量の予測
13. 北川 巌 (農工研) 農地基盤整備による炭素蓄積技術の実証
14. 下田星児 (近中四農研) 耕作放棄地の管理による植物種組成と土壌炭素含量の変化
15. 柴田昇平 (近中四農研) 地中熱交換技術によるトマトの局所冷却効果
■ 水田における温暖化緩和技術
16. H. Xu (中国科学院南京土壌研) 中国の水田における温室効果ガス発生削減技術
17. 白鳥 豊 (新潟県農総研) 非灌漑期間の表面排水による水田からのメタン発生削減効果
18. J. Yeluripati (アバディーン大学) DNDC モデルによるインドの水田からの温室効果ガス発生量評価
19. 早野美智子 (農環研) 日本の水田からのメタン発生量広域評価
20. T. Adhya (インド中央稲研究所) インドの水田における温室効果ガス発生削減技術
■ 総合討論
■ 閉会挨拶
11月18日(金曜日) 第3回 GRA 水田研究グループ会合 (エポカルつくば小会議室) 9:00 − 17:00
出席者: GRA 加盟各国代表者、およびオブザーバー
議長: 八木一行 (農環研) および A. Roel (ウルグアイ共和国大学)
議題:
1. 各国の研究の現状に関する報告
2. 計測法標準化に関する検討
3. 水田研究グループの活動計画
4. 他の研究グループ・分野横断グループとの連携
5. その他
プログラムの詳細については 英文開催案内(MARCO Workshop; Final program)[PDFファイル] をご覧ください。