農業環境技術研究所プレスリリース

プレスリリース
NIAES
平成23年6月17日
独立行政法人 農業環境技術研究所

農業環境に関する基本情報を提供するWebサイトを公開

ポイント

・ 国内の農業気象、土壌、農地利用、温室効果ガスに関するデータを無償で提供するWebサイトを公開しました。

・ 任意の基準地域メッシュ(1kmメッシュ)または測定地点を指定して、簡単な操作で各種のデータをダウンロードできます。

・ 複数のデータベースの情報を組み合わせ、農業・環境分野の調査・研究や教育に活用できます。

概要

独立行政法人農業環境技術研究所(農環研)は、これまでの研究で収集・整備してきた複数の農業環境データベースを効率よく利用するためのWebサイト『gamsDB』( Ghg Agro-stat MeteoCrop Soil-information Data Base; 農業環境情報データセンター ) を公開しました。

全国をカバーする一辺が約1kmの基準地域メッシュまたはデータ測定地点を指定して、農業気象、土壌、農地利用、温室効果ガスに関する各種のデータをダウンロードできます。操作は非常に簡単で、目的とするメッシュや地点を、Google マップを利用して検索するツールも備えています。

簡単な操作で複数のデータベースからダウンロードしたデータを組み合わせて利用できることから、農業・環境分野の調査・研究や教育に多様なデータを広く活用することができます。

本Webサイト『gamsDB』( http://agrienv.dc.affrc.go.jp/ )は、2011年6月17日から公開します。

予算: 農業環境技術研究所運営費交付金研究(2010)

問い合わせ先など

研究推進責任者:

(独)農業環境技術研究所 茨城県つくば市観音台3-1-3

理事長    宮下  清貴

研究担当者:

(独)農業環境技術研究所 大気環境研究領域

上席研究員    桑形  恒男

TEL 029-838-8202

(独)農業環境技術研究所 農業環境インベントリーセンター

研究員    大澤  剛士

上席研究員    神山 和則

(独)農業環境技術研究所 物質循環研究領域

主任研究員    須藤  重人

広報担当者:

(独)農業環境技術研究所 広報情報室 広報グループリーダー

田丸  政男

TEL 029-838-8191
FAX 029-838-8299

電子メール kouhou@niaes.affrc.go.jp

開発の社会的背景と研究の経緯

近年の情報技術の発達により、複数のデータベースを横断的に利用する動きが広がっています。これまで、個別のデータベースからの情報を組み合わせて利用するためには、それぞれのデータベースから目的とするデータを別々に取得した上で結合しなければならず、多大な労力を要しました。そのため、せっかく整備された各種データベースが十分に活用されない場面も少なからず存在していました。様々な分野において蓄積されている貴重な情報資源を有効に活用するため、複数のデータベースを横断的に利用する仕組みが求められています。

研究の内容・意義

1.農環研では、農業環境資源情報の利用促進を目指し、これまで収集・整備してきた複数のデータベース (モデル結合型作物気象データベース・メッシュ気象値データベース、土壌情報閲覧システム、農業統計情報メッシュデータ閲覧システム、温室効果ガスデータベース) を横断的に利用するための仕組みを開発し、Webサイトとして公開しました。

2.公開したWebサイト gamsDB ( http://agrienv.dc.affrc.go.jp/ )図1)には、上述の複数データベースからのデータがまとめられており(図2)、利用者は、基準地域メッシュ(1kmメッシュ)または測定地点を指定して、必要なデータをダウンロードできます。データはすべて無償で提供され、ユーザ登録等の手続きも不要です。

3.基準地域メッシュ単位で取得できる情報には、1970〜1995年の農業統計情報、農耕地土壌の分類別面積、1980年以降の気象データ(日別値)があります。気象情報には、気温、降水量等が含まれ、その月平均や年平均の値を取得することも可能です。

4.地点のデータとして取得できる情報には、全国850か所の作物生産に関わる気象データ(作物気象データ)、全国9か所でモニタリングされている農耕地の温室効果ガス発生量のデータがあります。作物気象データは定期的に更新され、最新のデータが取得できます。

5.メッシュと地点のデータを組み合わせて取得することもできます。例えば、ある地点の温室効果ガスデータと、その地点が含まれるメッシュの気象データを組み合わせることが可能です。

6.操作はとても簡単で、初めて利用する方もほとんど迷うことなく利用できます(図3)。

7.基準メッシュコードや測定地点名がわからない場合でも、Google マップで位置を選択できます(図4)。

今後の予定・期待

1.本Webサイトからダウンロードしたデータを利用することで、単独のデータベースから得られた情報だけでは実現が難しかった課題を解決できることが期待されます。例えば、これら複数のデータを組み合わせれば、農耕地からの窒素溶脱を容易に推定することができます(図5)。主な利用者として農業関係の試験研究機関や大学、農業関連の調査・分析等を行う企業・団体等を想定しています。

2.今後、さらに新しい年度や地点のデータを追加するなど、システムを拡充していく予定です。また、本サイトに採用されている仕組みを用いることで、今回格納した以外のデータベースについても、柔軟に横断利用できるシステムを開発する予定です。本Webサイトやデータベースに関するご質問やご意見については、農環研の広報担当 ( E-mail: kouhou@niaes.affrc.go.jp ) までご連絡ください。

gamsDBトップページ(http://agrienv.dc.affrc.go.jp/)(画面表示)

図1 gamsDB のトップページ

5つのデータベースからのデータが、「データ選択」機能と「地図による検索補助」機能を持つ「公開Webサイト(gamsDB)」に集められ、(利用者のパソコンに)ダウンロードされる

図2 gamsDB のシステム概念図

画面上のおもな見出し:[メッシュデータダウンロード]標準3次メッシュ(約1km×約1km)単位の環境データをダウンロードできます。/[ダウンロードするデータの位置を指定してください。]/[メッシュデータの種別を選択してください。]/[気象要素を選択してください。]/[平均値を選択できます。]/[期間を選択してください。]/[区切り文字]/[ダウンロード]

図3 データ選択画面(例としてメッシュデータ選択画面を表示)

画面上のおもな見出し:[地図検索ツール]/[地図上で地点もしくはメッシュを選択してください。]/[各種データダウンロード画面へ移動します。]

図4 地図による検索補助画面(例としてメッシュ選択画面を表示)

余剰水量(降水量−蒸発散量)の算出(気象メッシュDBより)+ 窒素負荷量の算出(農業統計メッシュより)+ 溶脱特性(土壌データより) → 窒素用脱濃度の推定マップ

図5 本Webサイトの活用例(農耕地からの窒素の溶脱量の推定)

プレスリリース|農業環境技術研究所