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研究成果速報
NIAES
2012年12月19日
独立行政法人 農業環境技術研究所
(土壌環境研究領域)

低カドミウム米の作出とその原因遺伝子の解明が
2012年農林水産研究成果10大トピックスに選定されました

12月13日、農林水産技術会議事務局が「2012年農林水産研究成果10大トピックス」を公表 しました。

農林水産研究成果10大トピックスは、1年間に新聞記事となった民間、大学、公立試験研究機関及び独立行政法人研究機関の農林水産研究成果のうち、内容に優れるとともに社会的関心が高いと考えられる成果10課題を、農業技術クラブ (農業関係専門紙・誌など29社加盟) の協力を得て選定するものです。

2012年の農林水産研究成果10大トピックスに、農業環境技術研究所による研究成果が選ばれましたので、お知らせします。

低カドミウムコシヒカリの原因遺伝子を発見!
−カドミウム低減技術のコメ以外の作物への展開に期待−

農業環境技術研究所、東京大学などは、カドミウムをほとんど吸収しないコシヒカリを開発し、この原因が、鉄やマンガン・カドミウムを土壌から吸収するタンパク質の遺伝子の変異であることを解明しました。このことにより、イネ以外の作物にも低カドミウムの形質を付与する技術開発につながることが期待されます。

成果のポイント

カドミウムをほとんど吸収しないコシヒカリを開発した。この低カドミウムコシヒカリは、カドミウムの高い土壌中で栽培しても玄米や稲わら中のカドミウム濃度が通常のイネの3%以下になる。

この低カドミウム性質の原因は鉄やマンガン、カドミウムを土壌から輸送するタンパク質である OsNRAMP5 の変異によることを突き止め、さらにこのタンパク質の遺伝子を特定し、また、この低カドミウム遺伝子を検出できるDNAマーカーも開発した。

本研究は生物系特定産業技術研究支援センター 「イノベーション創出基礎的研究推進事業」 で実施された。

本成果は、米国アカデミー紀要オンライン版(2012年11月6日)に掲載 された。

期待される効果

今回開発した低カドミウムコシヒカリを交配することで、他のイネに低カドミウムの性質を付与することができるほか、イネ以外の作物についても同様の遺伝子を探索することでカドミウム濃度を低減する技術の開発が期待できる。

研究所名

(独)農業環境技術研究所、 (国)東京大学、 (公)石川県立大学

担当者名

(独)農業環境技術研究所 土壌環境研究領域 石川 覚 TEL: 029-838-8270

(国)東京大学大学院 農学生命科学研究科 中西 啓仁 TEL: 03-5841-7514

(公)石川県立大学 生物資源工学研究所 西沢 直子 TEL: 076-227-7220

連絡先

中西 啓仁 または 石川 覚

図表等

別添3.低カドミウムコシヒカリの原因遺伝子を発見!−カドミウム低減技術のコメ以外の作物への展開に期待−(PDF:316KB)(農林水産技術会議)

なお、本成果に関する農業環境技術研究所の記者発表は次のとおりです。

(1) プレスリリース 「カドミウムをほとんど含まないコシヒカリ、イオンビーム照射で作出に成功 −安全なお米を生産現場から食卓へ−」(2012年3月)

(2) プレスリリース 「コメのカドミウム汚染をなくす遺伝子を発見」(2012年11月)

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