農業環境技術研究所環境化学トピックス(2005) > ファイトレメディエーションとは?

ファイトレメディエーションとは?

カドミウム汚染土壌のファイトレメディエーション:栽培、収穫、焼却までの一貫システム カドミウム等の重金属はいったん土壌に入ってしまうと、なかなか取り除くことができません。しかしながら、植物の中には、重金属をたくさん吸収できるものがあります。この植物を重金属汚染土壌に栽培して、土壌を浄化する技術をファイト(植物)レメディエーション(修復)といいます。
カドミウム汚染土壌のファイトレメディエーション:栽培、収穫、焼却までの一貫システム

研究紹介;農耕地土壌におけるファイトレメディエーション技術の開発

カドミウム汚染農地(水田)のファイトレメディエーションを行うためには、修復用植物が土壌中のカドミウムを多量に吸収するだけでなく、修復用植物の栽培技術が確立しており、修復後、農地として再利用できなくてはなりません。これまでに高濃度のカドミウムを集積する植物種(多くは山野草)が見つかっていますが、それらは乾物生産量が小さく、また栽培技術も確立されていないので、実用的ではありません。

私たちは、ある種のイネ品種を畑状態で栽培すると、土壌中のカドミウムをたくさん吸収することを見つけました。現在、高カドミウム吸収品種を汚染された農耕地で栽培し、カドミウムを含むイネワラを焼却等によって安全に処分するシステム作りに取り組んでいます。さらに洗浄剤で土壌のカドミウムを抽出、回収する方法など、効率的に土壌からカドミウムを取り除く技術も開発中です。

1.カドミウム高吸収イネ品種の栽培
右の写真は、カドミウム高吸収イネ品種の栽培風景です。草丈は全く違いますが、どちらの品種も茎葉部に20ppm程度のカドミウムを蓄積します。節水栽培することで、土壌中の可給態カドミウム濃度が上昇し、イネが効率的にカドミウムを吸収できるようになります。さらにこれらイネ品種のカドミウム吸収を最大化する栽培管理技術も開発中です。 カドミウム高吸収イネ品種の栽培風景(現地試験)
カドミウム高吸収イネ品種の栽培風景(現地試験)
2.カドミウム高吸収イネの収穫、燃焼等による処理
ホールクロップ収穫機による刈り取り作業の様子
ファイトレメディエーションにイネが適している理由として、栽培体系が確立されている点に加えて、機械化が進んでいるため、収穫作業効率が良い点にあります。左の写真は自走式ホールクロップ収穫機による刈り取り作業です。
ホールクロップ収穫機による刈り取り作業の様子
収穫したイネは、焼却場まで運搬し、焼却処分します。焼却灰からカドミウムを回収し、工業的に再利用する方法を検討中です。また、収穫物のバイオマス利用のため、メタノールや発電等のバイオエネルギーとして有効利用する方法も検討中です。 既存のゴミ焼却場
既存のゴミ焼却場
3.土壌洗浄法によるカドミウムの除去
洗浄法による汚染圃場からのカドミウム除去(現地試験)
カドミウム汚染度の高い土壌にファイトレメディエーションを適用すると、浄化年数が長期になる可能性があります。そこで、化学洗浄剤を用いて、土壌からカドミウムを溶出させ、洗浄廃液中からカドミウムを回収することによって、ファイトレメディエーション年数を短縮する技術を開発中です。
洗浄法による汚染圃場からのカドミウム除去(現地試験)
4.汚染土壌修復目標値の策定とその検証手法の開発
カドミウム汚染土壌を採取している様子
ファイトレメディエーションの適用によって、土壌のカドミウム濃度を下げることは可能ですが、すべて取り除くことはできません。では一体どの程度まで土壌のカドミウム濃度を下げれば、農作物のカドミウム基準値をクリアできるのでしょうか? ファイトレメディエーションの終点を決定するための検証手法を現在開発中です。
カドミウム汚染土壌を採取している様子