寒さの示数


 植物がただちに枯死するほどの低温でなくても、ある限界値以下の温度がある程度以上持続すると、その種の生存は困難となる。 このような低温による分布制限を定量的に表わすために吉良(1945)が提案したのが「寒さの示数」である。寒さの示数(CI)は次式から計算される。
CI=Σ(5-Tm) 但し、Tm<5℃の月について積算
ここで、Tm は月平均気温
 寒さの示数は、暖温帯の常緑広葉樹である照葉樹の各種や、森林植生としての照葉樹の分布の低温限界(北限または上限)をよく表わす。照葉樹林の北限は、CI=-10(℃・月)程度である。照葉樹林の優占種であるタブ・アラカシ・ウラジロガシ・アカガシ等の分布の北限はCI=-15程度である。本州中南部の低地を占める照葉樹林が、東北地方の沿岸沿いに北上する分布状態も、CI=-10の等値線によく一致している。一方、冷温帯性落葉広葉樹林(日本ではブナ林)は、温量示数85の線までしか南下していないので、中部地方や東北地方の内陸部には、WI>85の暖温帯でありながらCI<-10であるため照葉樹林をみない地帯が存在し、モミ・ツガのような温帯性針葉樹と、クリ・シデ類・コナラなどの落葉広葉樹の混合林となっており、冬の寒さに起因する暖温帯落葉広葉樹林となっている。
【生物学辞典(岩波書店)より】

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