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農業と環境 No.127 (2010年11月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

第12回IUPAC農薬化学会議 (7月 オーストラリア(メルボルン)) 参加報告

7月4日から8日までオーストラリア・メルボルンで行われた、第12回IUPAC農薬化学国際会議 (12th IUPAC International Congress of Pesticide Chemistry (対応するページが見つかりません。2015年8月)) に参加しました。

会場となったメルボルン会議・展示センター(写真)

写真1 会場(メルボルン会議・展示センター)

この国際会議は、国際応用純正化学連合(IUPAC)と主催国によって、4年に1度、開催されています。今年はオーストラリア化学協会と共催で行われました。前回の会議は神戸で開催され、私は前回大会に続いて2回目の参加となりました。

今回のメインテーマは、“Chemistry for a Sustainable World” (持続可能な世界のための化学) でした。基調講演ではグリーンケミストリーについて講演されるなど、より環境に配慮をしながら農薬とどう付き合っていくか? といった方向性になっていると思われました。会議は「有害生物管理と作物防除」、「制御と残留」、「製剤と運搬」、「環境運命と安全性」、「新しい問題」と、5つのカテゴリに分けられ、それぞれ講演とポスター発表が行われました。

発表ポスターと山崎(報告者)(写真)

写真2 発表ポスターと報告者

農業環境技術研究所からは、有機化学物質研究領域の岩船研究員と山崎(報告者)が参加し、ポスター発表を行いました。報告者は、「環境運命と安全性」 のカテゴリの 「土壌中の分解と吸着」 のセッションで、分解菌群集積炭を用いたトリアジン系除草剤複合汚染土壌中のバイオレメディエーション (英語題名:Bioremediation of multiple contaminated soil with s-triazines using charcoal enriched with degrading bacterial consortium) という題名で発表しました。4年前の学会ではPOPs (残留性有機化学物質) に関する環境修復のセッションがあり、私の専門であるバイオレメディエーションに関する発表がいくつもありましたが、今年は環境修復についての発表はあまり多くありませんでした。しかし、農薬に関する最近の動向がよくわかり、いま、なにが求められているかを肌で感じることができました。

今回は冬のオーストラリアでの開催であったため、バカンスシーズンのヨーロッパからの参加者は少なかったのですが、開催国オーストラリアとアジアの研究者の発表が多く、4年前に負けないぐらい活発な会議でした。季節が冬なので、日本との気温差が不安でしたが、メルボルンの冬は日本よりも湿度が高く、快適に過ごせました。また、市内のいたる所でトラムが走っているなど交通の便もよく、また、すしや中華、エスニック料理などの店も多くなど、色々な面から、日本人が生活するには困らない街だと感じました。

次回のIUPAC農薬化学国際会議は、2014年、サンフランシスコで開催されます。

(有機化学物質研究領域 (JSPS特別研究員) 山崎健一)

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